親の家を空き家にしないために今決めておくこと|実家を放置しない家族の準備

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「お母さんが施設に入ったあと、実家の郵便物は誰が見る?」

施設の手続きや引っ越しが落ち着いてから、初めてこの話になることがあります。家は残っていても、そこに住む人はいない。鍵、庭木、届く請求書をどうするか、決めないまま時間が過ぎてしまうのです。

長い入院、施設への入居、子どもとの同居。この記事では、親が実家を使わなくなる前に決めておきたい管理の分担と、荷物の整理や売却を考えるときの次の一歩をまとめます。親が暮らしている家を、急いで手放すための記事ではありません。

相続した空き家について、相続前に対策をしていた世帯は23.0%、していなかった世帯は77.0%。国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査(2025年8月公表)では、このような結果が示されています。

同資料では、相続前の対策がなかった空き家は、対策があった空き家に比べ、活用や解体の意向なく空き家として持ち続けている割合が約1.5倍でした。ただし、これは調査上の比較であり、話し合えば必ず空き家を防げるという因果関係を示すものではありません。対象も、日本の全家庭ではなく調査対象の空き家所有世帯です。

出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査 結果のポイント」1ページ目。調査は2024年11〜12月に実施されました。

売るか残すかを今日決める必要はありません。まず、家を空けたときに「誰かが見ているだろう」で済ませないことから始めましょう。

空き家にしない準備は、売却を急ぐことではありません。
まずは、親の家を誰がどう見守るかを決めておくことです。

この記事で分かること

  • 親の家が空き家になりやすいきっかけ
  • 空き家にしないために家族で決めておくこと
  • 親に話す時の自然な言い方
  • 家を残す・貸す・売る前に確認したいこと
  • 次に読むとよい記事

まず結論

親の家を空き家にしないために、最初から売却や相続の結論を出す必要はありません。

先に決めておきたいのは、次の5つです。

  1. 親が長く家を空けた時、誰が鍵を持つか
  2. 郵便物や固定資産税の通知を誰が確認するか
  3. 草木、雨漏り、換気を誰が見に行くか
  4. 家の中で捨ててはいけないものをどこにまとめるか
  5. 住まなくなった時に、残す・貸す・売るのどれを候補にするか

ここまで決まっていれば、急に親が入院した時や施設に入った時でも、家族が慌てにくくなります。

最初の10分で、家族のメモに残すこと

「実家をどうする?」だけでは話が大きすぎます。最初は、次のようなメモが一つできれば十分です。これは架空の家庭を想定した記入例です。

  • 鍵:親の了承を得て、近くに住む姉が合鍵を預かる。家族の共有メモに鍵の隠し場所は書かない。
  • 確認:姉が月1回を目安に郵便物と家の外観を確認する。荒天後は、安全を確かめてから臨時に確認する。実際の頻度は家の状態に合わせる。
  • 遠方の家族:弟が保険会社や自治体への確認を担当し、現地に行く人だけに負担を寄せない。
  • 費用:交通費や管理費を誰が立て替え、いつ精算するかを決める。親の口座から自由に引き出せる前提にはしない。
  • 見直す日:まず1か月後に分担を見直す。親の退院・帰宅の見込みが変わったら、残す・貸す・売るの候補も話し直す。

たとえば「近いから、これからも姉が全部やる」では、郵便物、草刈り、交通費まで一人に集まります。現地へ行く役と、電話・書類・費用の整理をする役は分けられます。

家を空ける予定が決まったら、引継ぎ日を置く

入院や転居の前に、本人が戻る見込み、家に入ってよい人、郵便や契約の連絡先を確認します。すぐ戻る予定か、期間が未定かでも準備が変わります。

ここで作るのは「何かあったら誰が動くか」という引継ぎです。すでに雨漏りや近隣からの連絡がある場合は、空き家になった後の問題別の初動へ進んでください。

空き家にしないために決めておく5つ

1. 鍵を誰が持つか

親が入院した時、家に入れないと受診に使うマイナンバーカード・資格確認書、お薬手帳、着替えなどを探せません。親の了承を得て、合鍵を誰が預かるかを決めます。住所と鍵の保管場所を、不特定の人が見られる場所にまとめて書かないようにしてください。

2. 郵便物を見る人

固定資産税、保険、介護、年金、公共料金の通知が届くことがあります。誰がどの頻度で確認するか、通知の期限や家の状況に合わせて決めます。

3. 家の様子を見に行く頻度

換気、雨漏り、庭木、ポスト、玄関まわりを誰が見るかを決めます。遠方なら近所の親族や管理サービスを検討することもあります。

4. 捨ててはいけないものの置き場所

権利証、固定資産税通知、保険証券、年金書類、写真、印鑑などは、片付けの時に紛れやすいものです。親が分かる範囲で、保管場所だけ確認しておきます。

5. 住まなくなった時の候補

すぐ売ると決めなくても、残す、貸す、売る、親族が使うなど、候補だけ話しておくと後で揉めにくくなります。

親に話す時は「空き家」から入らない

親にいきなり「この家、将来どうするの?」と聞くと、重く受け取られることがあります。

親にとって実家は、ただの不動産ではありません。長く住んできた場所であり、思い出もあります。だから最初から売却や処分の話にしない方が自然です。

言うなら、こういう形が話しやすいです。

「もし入院が長くなった時、郵便物だけ誰が見るか決めておこうか」

家を手放す話ではなく、生活上の確認として話せます。

「台風のあとに雨漏りしていないか、誰が見に行くか決めておきたい」

家を大切にするための話なので、親も受け入れやすくなります。

「大事な書類だけ、捨てないように置き場所を聞いておいていい?」

財産を聞き出すのではなく、紛失を防ぐ確認として伝えられます。

大事なのは、親の家を急いで処分する話にしないことです。まずは、親が家を空けた時に困らない準備として話す方が進めやすくなります。

兄弟姉妹がいるなら先に共有する

実家の話は、親だけでなく兄弟姉妹との関係にも影響します。

一人だけが親に聞き始めると、あとで「勝手に進めた」と受け取られることがあります。

先に兄弟姉妹へ、次のように共有しておくと安心です。

「親が急に入院したり、家を空けることになった時に困らないように、鍵・郵便物・大事な書類の場所だけ確認しておこうと思う。
売るとか相続の話ではなく、まずは管理の確認です」

この一言があるだけで、家族間の不信感を減らしやすくなります。

片付ける前に、親の希望と家の名義を確認する

施設への入居が決まっても、親が大切にしている物を子どもの判断だけで捨てたり、家を売ると決めたりしないでください。「帰ってきたときに使う物」「残しておきたい物」を、本人が話せるうちに確認します。

もう一つ、固定資産税の通知を受け取る人と、登記上の所有者を同じだと思い込まないことも大切です。祖父母の名義のままかもしれない、複数人の共有かもしれない場合は、売却や処分を進める前に名義と手続きを確認します。書類の手がかりは、相続登記に必要な書類と実家の名義の確認で整理しています。

親が施設や子の家へ転居した時は、所有者の住所が登記と合っているかも別に確認します。施設への入居と住所等変更登記の確認では、2026年からの義務化と、すぐに登記が変わるわけではないスマート変更登記の条件を整理しています。

本人の意思を確認しにくい、家族の意見がまとまらない、手続きの権限が分からない場合は、契約を急がず、自治体の相談窓口や司法書士などに確認してください。

引継ぎを見直すきっかけも決めておく

退院や施設の予定が変わる、管理担当が通えなくなる、修繕が必要になる。こうした時に分担を見直すと決めておきます。見回りや費用の担当を決めても、空き家になること自体を必ず防げるわけではありません。

税金の適用条件は住宅用地特例と勧告の確認、保険の扱いは契約先への確認事項へ分けます。今日は本人と相談して、最初の連絡担当と次に見直す日を一つずつ残してください。

今の困りごとに合わせて、次の一歩を選ぶ

  • 管理の担当が決まらない:まず自治体の空き家相談窓口で、地域の相談先や管理支援の有無を確認します。紹介先の業務範囲と料金も確認してください。
  • 売却を考えたいが、家財が残っている:先に全部捨てるのではなく、売却前の片付けはどこまで必要かを整理し、不動産会社にも現状で相談できるか確認します。
  • 重い家具や遠方への往復が負担:家族だけで片付けない方がよいケースを確認します。書類や思い出の品は家族で選び、運び出しだけ相談するなど、分けて考えられます。
  • 業者へ相談する準備ができた:見積もり前に伝える荷物・作業範囲・追加費用の確認事項を読んでから問い合わせます。相談と作業の契約は分けて考えてください。

「週末ごとに実家へ通ったが、食器棚だけ動かせず半年たった」という状態なら、残す物を決める作業と、重い家具を運ぶ作業を分けるのが一つの方法です。これは想定例であり、業者を利用すれば必ず安く済むという意味ではありません。

チェックシートで整理しておく

親の家を空き家にしない準備は、実家だけの話ではありません。入院、保険、書類、片付け、相続前の確認ともつながっています。

当サイトでは、親が元気なうちに確認しておきたい20項目を無料PDFにまとめています。まずは、家・書類・連絡先の確認から使ってみてください。

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